入館者数5万人増に応える窓口オペレーション改革
「セルフ発券~入館」で行列と手入力負担を解消

北海道内最大規模の淡水水族館・サケのふるさと 千歳水族館は、ユニークな展示に加え、新千歳空港に近く、人気の道の駅にも隣接するという恵まれた立地から、近年は年間30万人を超える来館者で賑わっています。その一方で顕在化してきた窓口前の混雑やスタッフの負担増という課題を解決すべく、パナソニック デジタル株式会社(以下、パナソニック デジタル)の支援のもとチケットシステムを刷新しました。刷新がもたらした効果について、同館 副館長の越いずみ氏、総務課営業係の太田葵氏に話を伺いました。
導入のポイント
来館者急増で深刻化した混雑を改善。「セルフ発券~入館」で行列を緩和
窓口に集中していた発券業務を軽減。QRコードで直接入館を実現
IT専任担当者不在でも、パナソニック デジタルの伴走支援で3ヵ月での短期導入を実現
課題
  • 年間25万人から30万人超へ。来館者急増で行列が深刻化

  • 電子チケットも窓口対応。発券業務の負担を軽減したい

  • 機能追加や改修の負担が大きくアップデートが困難

解決
  • 来館者の約5割がセルフで発券~入館。キャッシュレス券売機を導入

  • 券の引き換え業務を効率化。QRコードでの入館を実現

  • オンプレミスからクラウドサービスへ。最新機能を取り入れられる

展示のユニークさと立地の良さから年間来館者数が30万人超に

――まず、越様・太田様の職務について教えてください。

越氏 副館長兼総務課長として、入館管理と総務の双方を担当しています。

太田氏 総務課の営業係として、窓口でのチケット販売や団体受付を担っています。

――近年、来館者が大きく増えていると伺っています。淡水水族館として道内最大規模であることや、展示のユニークさが背景にあるのでしょうか。

越氏 展示のユニークさという点では、千歳川の左岸に面した「水中観察ゾーン」は当館ならではのものです。窓の向こうに自然のままの川底が広がり、秋には遡上するサケの群れが観察でき、お客様に大変好評です。加えて空港に近く、多くの観光客が訪れる「道の駅」に隣接している点も、来館者増につながっています。以前は年間25万人ほどでしたが、ここ2年は30万人を超える来館があります。
北海道最大の淡水大水槽ではサクラマスやギンザケ、チョウザメなどが泳ぐ

人手に頼る入館管理に限界が見え始める

――お客様が増える中で、貴館では、株式会社システムディ(以下、システムディ)のクラウドサービス「Smart Hello チケット」へチケットシステムを刷新されました。以前のシステムには、どのような課題があったのでしょうか。

越氏 入館チケットの販売・発券から予約受付まで、多くの業務が窓口スタッフに集中していたことです。Webで電子チケットを購入したお客様も、来館時にいったん窓口で入館チケットを受け取る必要があり、混雑時には長い行列ができていました。この問題が来館者増に伴いより深刻になったといえます。加えて、複数のOTA(オンライン旅行代理店)を利用しており、各サイトへのチケット登録・管理も窓口スタッフの業務で、負担が小さくありませんでした。

――刷新の一番の目的は、窓口スタッフの負担軽減だったのですね。

越氏 そのとおりです。限られたスタッフ数で多数の業務を担うことに限界が見えてきました。また、入館ゲートがなく「無料」と勘違いしてチケットを買わずに入館しようとするお客様も多く、そのたびにスタッフが駆け寄り購入をご案内する必要がありました。そうした入館管理のあり方も変えたかったのです。
サケのふるさと 千歳水族館 副館長 総務課長 越 いずみ 氏

窓口を介さない入館体験の実現へ

――新システムに求めた機能を教えてください。

越氏 第一に、QRコードを活用した「直接入館(ダイレクトイン)」の仕組みです。Webサイトでチケットを販売してQRコードを付与し、そのまま入館を可能にすれば、窓口負担を減らせると考えました。第二に、現金対応の手間がなく海外のお客様も使いやすいキャッシュレス・多言語対応の券売機です。

――パナソニック デジタルを採用した決め手は何だったのでしょうか。

越氏 知見・実績の豊富さと技術力の高さに加え、以前のチケットシステム導入でお世話になったお付き合いを通じて、当館の業務を深く理解いただいていた安心感です。他社案も検討しましたが、当館が望む仕組みの実現には相当の費用が必要で、その点、パナソニック デジタルの提案はコストパフォーマンスにも優れていました。

IT専任担当者が不在でも、3カ月でシステム刷新を完了

――2025年11月にプロジェクトを開始し、2026年2月に本番運用に至っています。3カ月という短期間で終えられた理由を教えてください。

越氏 繁忙期のゴールデンウィーク前に新システムに慣れておきたく、2月を本番開始としました。IT専任スタッフがいない当館がこれを成しえたのは、パナソニック デジタルの手厚い支援のおかげです。週2回の打ち合わせに対応いただき、最大の難所であった外部システムとのデータ連携も粘り強く実現していただきました。当館の場合、営業資料作成用システムへのデータ取り込みが必要で、そのニーズに合わせた出力設定の調整を、設定変更ごとの影響を一つずつ丹念に検証しながら支援していただきました。

太田氏 私にとっては、チケット商品作成時の設定の考え方を丁寧に教えていただけたのがありがたかったです。クラウドサービスの標準機能は固定的ですが、使い方次第で施設固有のニーズを満たせます。その方法をわかりやすく教えていただけたおかげで、短期間での刷新が実現できたと感じています。さらに、パナソニック デジタルとのミーティングはオンライン中心でしたが、電話でも細かくやり取りいただいたので、距離を感じることはありませんでした。加えて、ミーティングでは毎回、次回までに決めるべき事柄を整理いただけたので、やるべきことを見失うこともありませんでした。
サケのふるさと 千歳水族館 総務課 営業係 太田 葵 氏
――運用開始後のサポートはいかがでしょうか。

太田氏 着券端末の画面が固まるといったトラブルは電話一本で解決方法を教えていただけます。すぐに解決できない不具合は、定例の打ち合わせにパナソニック デジタルにも入っていただき、設定調整の問題かシステム、あるいはネットワークの問題かを切り分け、システム側の問題であればシステムディへ改善を働きかけていただいています。ネットワーク周りも相談できるのは心強い限りです。

「セルフ発券~入館」が混雑緩和の切り札に

――新システムの導入効果を教えてください。

越氏 今回導入したのはSmart Hello チケット、キャッシュレス・多言語対応の券売機2台、入館用の着券端末です。効果を最も実感したのは5月のゴールデンウィークで、多くのお客様をお迎えしても窓口前に長い列ができず、スタッフは落ち着いてご案内できました。券売機や当館のWebサイト、アソビュー!でチケットを購入されたお客様はQRコードを着券端末にかざすだけで入館できます。
新たに導入されたキャッシュレス・多言語対応の券売機
QRコードを読み込む着券端末。タブレットを活用している
チケットカウンターの様子
越氏 混雑緩和に効果があったのは、券売機を導入したことだけではありません。券売機をキャッシュレス専用とし、「キャッシュレスは券売機、現金は窓口」と利用導線を明確にしたことも大きかったと思います。お客様が自然に分散するようになり、現在では約5割※のお客様にセルフで発券から入館まで行っていただけるようになりました。その結果、お客様お一人当たりの対応時間も短縮されましたし、窓口前の混雑が大きく緩和されました。

※ 団体客、Webでの事前購入者、乳幼児など、券売機を利用しない来館者を除く。
入館ゲート付近の様子
―― Webサイトでのチケット販売に変化はありましたか。

越氏 Web経由の売れ行きは想像を大きく超えるものでした。今回、割引制度も整理した結果、客単価が上がっています。「年間パスポート」も紙からデータ入りカードへ変え、有効期限確認や利用人数カウントが不要になりました。

兼務の多い小規模施設にとって窓口業務の簡略化は重要

――システムをクラウド化した効果はいかがでしょうか。

越氏 従来は館内の1台のパソコンがサーバーと管理端末を兼ね、故障するとシステムが停止する構成でした。移行によりサーバーと管理端末が切り離され、安定性が増し高負荷にも耐えられるようになりました。館内はもちろん、インターネットを通じて館外からも売上状況やシステムの状態が確認できるようになった点も大きな効果です。

また、クラウドサービスを選択したことで、機能追加や制度変更への対応もしやすくなったと感じています。個別開発したシステムは自由度が高い反面、改修のたびに費用や時間がかかります。当館では運営方法を整理し、標準機能を活用する考え方を採りました。その結果、コストを抑えながら最新機能を継続的に利用できる環境を整えられました。

――Smart Hello チケットの導入で、データの活用が以前よりも簡単になったのではないかと想像します。データ活用の状況と今後の展望について教えてください。

越氏 現在は、チケットごとの販売数を取り出し、前年との差を毎日出力しています。今後は、例えば、どのエリアから多く来館いただいているか、Webでのチケット購入者の国・地域はどこかといった情報を割り出して、有効な営業・マーケティング施策の立案に役立てたいと思っています。

――最後に、同様の課題を抱える施設へのアドバイスをお願いします。

越氏 「セルフ発券~入館」を実現したくても、機器導入のコスト・技術面の敷居の高さから踏み出せない中小規模の施設は少なくないはずです。ただし、着券端末には市販のタブレットが使えますし、クラウドサービスなら初期費用も抑えられるので、システム導入のハードルは決して高くありません。また、小規模施設では一人が複数業務を兼ねることが多いですが、当館が導入したシステムのような、わかりやすい画面で誰でもチケット業務をこなせる仕組みは、そうした施設にとってより有効で導入しやすいものであると考えています。

パナソニック デジタルに相談してみる

当社担当からひとこと

金子 綾香
本プロジェクトは、来館者増加への対応を目的にスタートしました。そのため、単なるシステム更改ではなく、千歳水族館様とともに現行業務の整理やより良い業務のあり方を検討しながら、新たな運用の実現に取り組みました。タイトなスケジュールではありましたが、「新しい仕組みでどう実現するか」という視点で前向きに取り組んでいただき、円滑な導入につなげることができました。今後もさらなる業務改善に向けて、引き続きご支援させていただきます。
取材︓2026年7月13日 
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