安定稼働が必達のチケッティングシステムを全面刷新
パナソニック デジタルが課題整理から本番運用までを伴走

東武タワースカイツリー株式会社は、管理・運営する東京スカイツリーのチケッティングシステムを株式会社システム ディのクラウドサービス「Smart Hello チケット」で刷新し、2026年4月1日から運用を開始しています。同プロジェクトでは、パナソニック デジタル株式会社が課題整理からシステムインテグレーション、本番稼働までを一貫支援しました。刷新を推進した東武タワースカイツリーの3氏に、その道のりと効果を伺います。
導入のポイント
基幹のチケッティングシステムをクラウドサービスで刷新。予約・チケット販売・入場管理を一つの基盤に集約
現場業務を熟知したパナソニック デジタルが支援。課題整理から本番運用までを伴走支援
会計連携・BI基盤の整備まで支援範囲を拡大。データ活用が支える運営の高度化へ
課題
  • 個別対応やカスタマイズによる複雑化。変化への柔軟な対応が困難に

  • FAX・電話に依存した団体予約業務。アナログ運用による負荷低減

  • タイムリーな営業施策の実現が困難。より円滑な販売施策の推進

解決
  • QRコードによる直接入場を実現。来場者の利便性を大幅アップ

  • 団体予約のWeb化による効率化。団体予約業務をデジタル化

  • 在庫一元管理と柔軟な価格戦略。販売機会を最大化

システム更新のタイミングに合わせて、チケット販売・施設運営基盤の全面刷新へ

――インタビューにご対応いただく皆さんの職務と、チケッティングシステム刷新プロジェクトでの役割について伺います。

鈴木 泰弘氏 経営企画部でITを担当しており、システム面の検討やパートナー企業各社との調整を主に担いました。

鈴木 健大氏 同じく経営企画部所属ですが、営業の立場からバリアブルプライシング(変動価格制)の設計やチケット体系の整理を担当しました。

佐藤 彩子氏(以下、佐藤氏) 所属は観光営業部です。システム刷新の当時は、入場ゲートやチケットカウンターの運営、団体旅行の受け入れをを担当し、プロジェクトでは団体予約の申請・受付プロセスの見直しを担いました。

――チケッティングシステムの刷新に乗り出した背景をお聞かせください。

鈴木 泰弘氏 当社は2012年の東京スカイツリー開業以来、オンプレミス環境でチケット販売・入場管理システムを運用してきましたが、更新時期を迎えたことに加え、長年のカスタマイズで構造が複雑化し、事業環境やニーズの変化への柔軟な対応が難しくなっていました。そこで、より効率的かつ安定的に運用できるシステムへの全面刷新に踏み切りました。
東武タワースカイツリー株式会社 経営企画部 課長 鈴木 泰弘 氏
――刷新で目指したことは何でしょうか。

鈴木 泰弘氏 最も重視したのは、将来を見据えたチケット販売・事業運営基盤の確立です。主に目指したのは「変動価格制の導入」、購入から入場までをQRコードでつなぐ「直接入場(ダイレクトイン)」、団体予約受付をデジタル化する「団体予約Webサービス」の3つで、いずれもお客様の利便性向上と業務効率化の両立を狙ったものです。

鈴木 健大氏 変動価格制の導入は経営上の決定事項で、システム対応は必須でした。また、営業の観点からは、個人・団体・販路ごとに管理されてきたチケット在庫を一元管理することも目指しました。

佐藤氏 団体予約のプロセスは従来、電話・FAXでの予約申請と回答という手作業負担の大きい流れでした。お客様が空き状況を確認する手段もなく、問い合わせも多く寄せられていました。こうしたアナログな業務の負担を、デジタル化によって大幅に軽減したいと考えました。
東武タワースカイツリー株式会社 経営企画部 課長補佐 鈴木 健大氏
東武タワースカイツリー株式会社 観光営業部 課長補佐 佐藤 彩子 氏

業務に対する深い理解と伴走型支援でパナソニック デジタルを選ぶ

――システム刷新にあたり設定した製品・パートナーの選定基準を教えてください。

鈴木 泰弘氏 複数のベンダーに提案を依頼し、製品の機能・性能や導入実績、プロジェクト管理能力、業務理解度など多面的に評価しました。

――Smart Hello チケットの導入支援パートナーにパナソニック デジタルを選んだ決め手は何だったのでしょうか。

鈴木 泰弘氏 東京スカイツリーは国内外から多くのお客様が訪れる観光施設で、チケッティングシステムは日々の運営を支える基幹システムです。「止まらないこと」が前提であり、実績に裏打ちされた信頼性が不可欠でした。パナソニック デジタルは以前から当社システムに携わり業務も深く理解しており、その安心感は大きなものでした。外部システム連携や関係各社との調整、データ分析基盤構築をカバーした総合提案も高評価でした。
東京スカイツリーのチケット販売窓口とセルフ発券機(写真左奥)

毎週の対面協議で要件を洗い出し、システムの構築・運用へとつなぐ

――プロジェクトはどのようなスケジュールで進みましたか。

鈴木 泰弘氏 2024年9月にパートナーを選定し、10月から課題整理と要件定義に着手、設計・開発、テスト、データ移行を経て2026年4月1日に本番稼働しました。

鈴木 健大氏 印象的だったのは打ち合わせの密度です。要件定義期は週2日の頻度で当社とパナソニック デジタル、システム ディの関係者10〜15人が協議しました。私や佐藤はITの専門家ではなく技術的難易度を考えずに、さまざまな要望を出しましたが、両社は親身に耳を傾け最善策を提案してくれました

佐藤氏 団体予約の受付業務は、入場予約や駐車場予約が絡む複雑なプロセスで、限られたスペースへのバス割当など、特殊な業務も多くあります。両社は業務プロセス全体を俯瞰し、多くの改善提案をしてくれました。

――従来業務をそのまま移すのではなく、見直しも進めたのですね。

鈴木 健大氏 そのとおりです。「きれいにするなら全部きれいにしよう」を合言葉に、複雑化していた業務体系やチケット体系、マスタデータを整理しました。従来はWeb予約のお客様も必ずチケットカウンターや引換機に立ち寄っていましたが、直接入場の実現で引換機を廃止する方向を打ち出しました。

――Smart Hello チケットのようなクラウドサービスを貴社固有のニーズに対応させる難しさはありましたか。

鈴木 泰弘氏 Smart Hello チケットはカスタマイズ対応を前提とした製品ではありませんが、システム ディは当社が実現したい運用を丁寧にくみ取り、結果として製品全体の価値向上につながる「機能強化」として実装してくれました。その機能を前提に運用ルールを整備することで、目指していた受付・入場管理の形を実現できています。
4Fの入場ゲート。購入チケットのQRコードによる直接入場を実現

施設営業を止めずに新システムに一挙に切り替える

――パナソニック デジタルは、Smart Hello チケットの導入だけではなく、周辺システムの整備も担っています。その支援はどのようなものでしたか。

鈴木 泰弘氏 外部システムとのデータ連携は全て同社が担いました。会計システム連携では販売データを仕訳データへ変換する仕組みも構築、一から必要だったデータ分析基盤も担当してもらいました。同社の支援により、販売・予約・入場管理・在庫管理・データ分析を一つの仕組みとして整備できたことが、今回の最大の価値だと感じています。

――新システムへの切り替えはどのように行われましたか。

鈴木 泰弘氏 チケッティングシステムは原則止められません。そのため旧システムと並行運用ができる部分から段階的に切り替えを進め、2026年3月31日の営業後に旧機器を全て新機器へ入れ替え、翌4月1日の営業開始に間に合わせました。パナソニック デジタルの担当者は移行計画策定からテスト支援、当日の立ち会い、稼働初期の運用サポートまで一貫対応し、結果として、大きなトラブルなく切り替えが完了しました。

デジタル化が現場を変える

――皆さんは、新システムの導入効果をどう実感し、評価していますか。

佐藤氏 団体予約のプロセスが劇的に変わりました。以前は電話・FAX・手作業に依存していましたが、今はWebで空き状況を確認して申請し、承認されれば予約成立です。この効率性・利便性の高さは、お客様から高く評価され、稼働から3カ月で新規予約のほぼ全てがWeb経由になり、業務負担も大きく減っています。さらに、直接入場の導入で施設内の流れも一変し、入場チケット入手の長い待ち行列が解消されました。現場スタッフの負担も減り、「変えてくれてありがとう」という声が多く聞かれます。
団体受付カウンターでのSmart Hello チケット操作の様子
鈴木 健大氏 営業視点で高く評価しているのはチケット在庫の一元管理です。個人・団体・各販売チャネルの在庫データが一元管理され、「一つの箱」から即座に販売できるようになり、販売状況や残数の把握が容易になり効率的な営業活動が可能になりました

鈴木 泰弘氏 稼働の安定性も評価に値します。稼働直後のゴールデンウィーク期間も、サービス基盤スケールアップにより大きなトラブルなく安定稼働を続け、安心感が得られています。
天望デッキから天望回廊に上がるための入場ゲート

データ活用の高度化へ伴走は続く

――新システムに関して今後の展望をお聞かせください。

鈴木 泰弘氏 目指す一つはデータ分析基盤のさらなる活用です。今後は、この基盤で販売チャネル別の傾向や来場動向の分析を行いたいと考えており、パナソニック デジタルによる有効な提案にも期待しています。

――最後に、プロジェクトを振り返ってのメッセージをお願いします。

鈴木 泰弘氏 パナソニック デジタルやシステム ディの支援のおかげで、望んだ形の事業運営基盤が実現できました。この成功から、自分たちの業務と将来構想を理解し、課題整理から本番稼働・運用までを一貫して伴走支援してくれるパートナーの重要性を痛感しています。そうしたパートナーと作り上げた新システムは、多くのお客様が来場する観光施設や大型商業施設にも共通してお勧めできると感じています。
©TOKYO-SKYTREE

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当社担当からひとこと

岸 洋平
日本の基幹インフラであり、世界的な観光名所でもある東京スカイツリーのシステム刷新は、一瞬の停止も許されない「ミッションクリティカル」なプロジェクトでした。
複雑な既存システムからの移行は計り知れないプレッシャーの中での取り組みとなりましたが、お客様をはじめ協力ベンダー各社の尽力もあり、無事「完全ノンストップ」で切り替えることができました。
難度の高い本プロジェクトを完遂したこのノウハウを、今後のDX推進にも活かしてまいりたいと思います。
取材︓2026年7月7日 
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