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「内製化」から「自走化」へ。現場が自らデータを使いこなすために重要なポイントとは?

DXやデータ活用の取り組みが一定進んだ企業ほど、同じ壁にぶつかります。

  • ダッシュボードはできたが、会議で使われない
  • データ基盤はあるが、結局Excelの集計が残る
  • PoCは成功したのに、展開できない
  • 一部の担当者に依存し、担当者異動により業務が止まる

ここで起きているのは「導入した技術やツールの失敗」ではありません。自走できる状態になっていないことが原因で、データ活用が形骸化しているのです。

DXの取り組みが現場で自走出来る状態、すなわち「自走化」とは、単に「内製できる」ことではありません。現場がデータで意思決定し、業務改善を回し続けられる状態のことです。

データ活用の自走化が進まない組織に共通する「3つの落とし穴」

落とし穴①:ツールの習熟がゴールになっている

現場におけるデータ活用を促進するための研修やマニュアル整備は大切です。

ただし「操作できる」状態と「業務で使いこなせる」状態は別物である点には注意が必要です。

ツールを業務で使いこなせている状態とは、日常のメンバー間のやり取りや経営層を交えた意思決定など、業務の要所要所でツールに基づくデータをもとに会話が成立している状態を指します。

特に意思決定の場面に登場しないダッシュボードは、やがて一切使われなくなります。

落とし穴②:現場の“判断”とつながっていない

データ活用の本質は「見える化」ではなく、判断と行動が変わることです。
「誰が」「どのタイミングで」「何を決めるのか」が設計されていないと、現場はデータを自分の仕事として扱えません。

落とし穴③:文化・コミュニティがない

データ活用の自走化は、個人の努力だけでは長続きしません。

  • 相談できる場がない

  • 成功パターンが共有されない

  • 改善の空気が育たない

これらの状態では、データを活用する人が増えず、いつまでも一部の担当者に依存します。だからこそ、データ民主化(誰もがデータを使える)と文化醸成(誰もが自ら意思決定する)の両輪が必要になります。

失敗事例:実際のプロジェクトで見えた「自走化できなかったプロセス」

私たちが支援したパナソニックグループのとある製造現場のプロジェクトにおける失敗事例をご紹介します。

その製造現場では、可視化BIの構築や重要KPIの設計までを含むPoCを実施しました。
データ取得や可視化といった技術的な観点では一通りの検証が完了し、ツールとしては現場で利用可能な状態にありました。

しかし、PoC後の運用フェーズに入ると、BIダッシュボードは次第に使われなくなり、改善や判断を回し続ける仕組みとしては定着しませんでした。現場が主体的にデータを確認し、判断や行動につなげるサイクルは生まれなかったのです。

振り返ってみると、このプロジェクトでは「データを見られる状態」は作れていたものの、

そのデータを使ってどの業務判断を変えるのか、誰が日常的に運用・改善を担うのか

といった点が十分に設計されていませんでした。

その結果、BIダッシュボードは日常業務の文脈から遠ざかり、改善テーマの更新や指標の見直しも特定の担当者任せになっていきました。ツールは内製できていても、業務として回り続ける状態=自走化には至らなかったのです。

この経験から分かったのは、自走化が進まない原因はスキル不足や意欲の問題ではなく、業務判断・役割・運用を含めた設計が初期段階で不十分だったことにある、という点でした。

自走化はプロジェクトの初期設計で考慮すべき

自走化というと、プロジェクトの最後に「オンボーディング教育」や「一定期間のサポート」を加えるイメージになりがちです。確かに実施タイミングはプロジェクトの後半になりますが、自走化はプロジェクトの初期設計の時点で考慮すべき要素です。

  • 何のためにデータを使うのか(目的)
  • どの業務判断を変えるのか(意思決定点)
  • どの指標を「正」として扱うのか(共通言語)
  • 誰が運用し、誰が改善するのか(役割と習慣)

これらが曖昧なままツールを導入すると、現場は使う理由を見失い、ツール利用業務が形骸化します。ツールや技術の導入から先行せず、現場の業務ニーズや期待効果をヒアリング・整理し、最終的な自走化まで含めたロードマップを描くことが重要です。

自走化を実現するために必要な「三本柱」

データ活用を継続的な成果に変える「自走化」の実現には、データ活用をツール導入の延長として捉えるのでなく、次の三本柱で示す全体像に基づき推進することが重要となります。

① 業務を整理し、判断ポイントを設計する(ビジネスアナリシス)

ツールを導入する前に、業務ニーズ・期待効果・As-Is/To-Beを整理し、ロードマップに落とし込みます。

ロードマップにはツールの導入計画だけでなく、現場への教育や最終的な自走化を見据えたアクティビティを組み込みます。

② 意思決定に使い続けられる仕組みを作る(意思決定インテリジェンス)

BI・統計解析・機械学習・生成AIなどを用い、判断に直結する可視化・分析が行えるデータ基盤を構築します。

ビジネスアナリシスの段階で明らかにしたTo-Beをもとに、Excelなどを介さずデータ基盤とダッシュボードで意思決定が完結する仕組みを目指します。

③ 使い続けられる状態を組織で作る(分析活用・自走化支援)

研修・コミュニティ・イベントなどを通じて、分析文化の定着を支援します。

ダッシュボードの活用方法だけでなく、基盤上のデータ最新化の方法やユーザー同士の相互扶助の仕組みを組織に根付かせ、データ基盤の活用を促進します。

重要なのは、これらが相互に影響し合う「一体設計」であり、どれか一つでも欠けるとデータ活用の「自走化」の実現が難しくなると言うことです。

三本柱をすべて網羅する、データ分析総合支援サービス「DataVein」

上記の三本柱を分断せずに設計・伴走する取り組みの一例が、パナソニック デジタルの現場伴走型データ分析総合支援サービスDataVein(データヴェイン)です。

DataVeinは、「現場で継続的にデータドリブンな意思決定が行える組織」の実現をコンセプトに掲げ、データの活用と文化醸成の両立を目指しています。

特に「自走化支援」においては、単なるツールレクチャーではなく、ツールをただ「使える」状態から「業務で使いこなせる」状態へ引き上げることに重きを置いています。具体的には、以下の要素で構成されています。

  • BIツールのトレーニング(初級・中級など)
  • 貴社データや業務課題を題材にしたワークショップ型研修
  • 質問・悩みを相談できるユーザーサポート(チャット/相談会等)
  • 現場が自発的に学び合う「データ活用コミュニティ」の醸成支援
  • イベントを起点に“データ活用を身近に再定義”し、文化を醸成する支援

データ利活用の自走化を個人任せにするのではなく、組織として設計することで、継続的に分析と改善サイクルを回す、真に成果を挙げられるデータ活用を目指します。

DataVeinは三本柱での設計や実装をオススメしていますが、それぞれの要素は独立して提供することも可能です。お客様組織の状況をヒアリングし、今ある資産を最大限に活用しながら最適なコストで「現場で継続的にデータドリブンな意思決定が行える組織」を実現出来ます。

詳しくはパナソニック デジタル「DataVein」のページでご確認ください。

まとめ:現場が自ら改善を回し続ける「自走する組織」へ

自走化が進まないのは、現場が怠けているからでも、ツールが悪いからでもありません。判断設計がなく、組織として回る仕組みがないことが原因です。

自走化を実現するためには、

  • 業務判断を設計する
  • 意思決定に使い続けられる仕組みを作る
  • 研修・コミュニティ・イベントで文化として定着させる

という三本柱を、一体で進める必要があります。

データ活用を「作って終わり」にせず、現場が自ら改善を回し続ける「自走する組織」を目指し、その実現に向けた具体策を、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

パナソニック デジタルではお客様のDX推進に貢献する各種ソリューションをご提供しております。お役立ち資料もぜひご覧ください。

松尾和世司
松尾和世司
製造業向け生産管理システムの構築、インフラ運用、データセンターセキュリティ担当などを経て現職。 マーケティング施策の立案と実行および、お客様にITのトレンドや最新技術情報をお届けするエヴァンジェリストとして活動。 一般社団法人 日本ITストラテジスト協会 理事 副会長。 【資格】 ITストラテジスト/プロジェクトマネージャ(他、情報処理技術者試験 全区分) 情報処理安全確保支援士(登録番号:007992) Salesforce 認定 Service Cloud コンサルタント BCAO認定 事業継続主任管理士 他

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