
Excelバケツリレーから脱却できない組織の構造問題 ~なぜデータ活用は、いつも「手作業」に逆戻りしてしまうのか?~
経営企画部門やDX推進の立場であれば、こんな違和感を覚えたことはないでしょうか。
BIツールやデータ基盤を導入した
↓
各部門でデータは以前より集まるようになった
↓
それでも、最終的な経営報告や意思決定資料はExcelや埋め込んだPowerPoint
指定した書式のExcelやGoogleスプレッドシート※を部門からメールで受け取り、誰かが集計し、加工し、また別のExcelを作る。修正が入れば、同じことをもう一度繰り返す一連の行動が、いわゆる「Excelバケツリレー」です。
Excelバケツリレーは一部の組織の話ではなく、多くの大企業で普通に起きている現象です。
※本記事では便宜上、Microsoft ExcelやGoogleスプレッドシート等の一般的な表計算ソフトを総称して「Excel」と呼称しております
目次[非表示]
- 1.本当の問題はExcel以外にある
- 2.Excelバケツリレーを生み出す三つの構造要因
- 3.なぜDXを進めるほど、Excelが増えていくのか
- 4.「使われない報告書」~現場で実際に起きていたこと~
- 5.Excel依存から脱却するために必要なデータ活用戦略
- 5.1.① 業務プロセスを構造として整理すること(ビジネスアナリシス)
- 5.2.② 意思決定に直結する形でデータを使えること(意思決定インテリジェンス)
- 5.3.③ 現場と組織が「使い続けられる」状態であること(分析活用・内製化)
- 6.三本柱をすべて満たす、データ分析総合支援サービス「DataVein」
- 7.まとめ:Excelバケツリレーをなくすには「設計」が大事
本当の問題はExcel以外にある
ここで注目すべきポイントは、「Excelそのものが問題なのではない」ということです。Excelは本来、「柔軟で現場が自ら考えるための非常に優れた道具」です。
問題は、Excelが「データ連携」「正のデータ管理」「意思決定の拠り所」といった、本来担うべきでない役割まで背負わされている点にあります。
これは個人のスキルや意識の問題ではなく、組織としてのデータ活用の設計が不十分なまま拡張されてきた結果です。
Excelバケツリレーを生み出す三つの構造要因
① 「正しいデータ」がどこにあるか定義されていない
部門ごとに集計ロジックや算出基準が異なる
最新かどうかが不明
結局、一度Excelに集めて確認する必要がある
Single Source of Truth(唯一の正しいデータ源)が存在しない組織では、
人の手による確認作業が不可避になります。
② 業務プロセスが人依存で設計されている
「このExcelを作るのはAさんの仕事」
「この集計Excelの最新化手順はBさんしか分からない」
業務が人に依存したままでは、どれだけデータやツールを増やしても、Excelは緩衝材として残り続けます。
③ 柔軟性を理由に、標準化を先送りしてきた
「現場は変化が多いから、柔軟に対応できるように業務プロセスの標準化は後回しにする」
この判断が積み重なった結果、属人化・ブラックボックス化が常態化します。
なぜDXを進めるほど、Excelが増えていくのか
皮肉なことに、全体的なデータ活用戦略をないがしろにしてDXを進めるほど、
- データの種類は増え
- システムは増え
- 調整ポイントも増える
ことになり、結果として「隙間」を埋めるためにExcelが活躍します。
つまり、ExcelバケツリレーはDXの失敗ではなく、データ活用戦略すなわち「DXを支える設計が足りていない」サインなのです。
「使われない報告書」~現場で実際に起きていたこと~
筆者自身、DXを推進する立場で、まさにこの状況を何度も経験してきました。
新しいシステムを導入すると、その活用状況や投資効果を可視化する必要が生まれます。その結果、「新しいシステムのための新しいExcel」が作られがちになります。
たとえば、利用率や業務改善効果、KPIの達成状況をまとめるための管理用Excelです。
さらに、それらの内容を月次で経営層に報告する際、Excelだけでは完結せず、Excel表をPowerPointに貼り付けた報告資料が作られるようになります。
データが更新されるたびに表を差し替え、体裁を整え直す作業が、毎月の定型業務として定着していきました。
しかし、そうして苦労して作られた報告資料のページが、時間の都合で会議では読み飛ばされる、という場面も少なくありませんでした。
データが意思決定に使われていないと分かっていながら、同じ作業を毎月繰り返すことで、担当者は次第に疲弊していきます。
この経験から痛感したのは、Excelが増えた原因はツールの問題ではなく、「DXの進め方そのもの」にあったということです。
Excel依存から脱却するために必要なデータ活用戦略
Excelバケツリレーの諸悪の根源はExcelそのものではなく、データ活用戦略の不在です。つまり重要なのは、「Excelをなくすこと」ではありません。
Excelバケツリレーから脱却し、データが意思決定に使われる状態を作るために、パナソニック デジタルは次の3つの柱を揃えることを提唱しています。
① 業務プロセスを構造として整理すること(ビジネスアナリシス)
- どの業務判断が
- どのデータを使って
- どの頻度・粒度で行われているのか
このように業務プロセスを可視化する手段として有用なのが「ビジネスアナリシス」です。
② 意思決定に直結する形でデータを使えること(意思決定インテリジェンス)
データが意思決定に使われる状態を維持するには、単なる可視化ではなく、判断につながる、アクションが変わる分析やダッシュボードであること、すなわち意思決定インテリジェンスとして完結していることが重要です。
意思決定がダッシュボードで完結する状態を構築しない限り、Excelは経営への報告資料として残り続けます。
③ 現場と組織が「使い続けられる」状態であること(分析活用・内製化)
データ活用を推進するためには、利用側にも一定のデータ分析スキルやデータ活用リテラシーが求められます。一部の専門家だけが使える仕組みでは、Excelは必ず復活します。
- 誰もが理解でき
- 誰もが使えて
- 組織として無理なく運用できる
状態を作ることが不可欠です。
一方で、組織としてこれらのスキルやリテラシーを維持することは相応の時間とコストを伴います。専門家の支援を受けて現場のスキルやリテラシーを高め、ゆくゆくはデータ活用業務を内製化する、といった段階的な展開が望ましい進め方です。
三本柱をすべて満たす、データ分析総合支援サービス「DataVein」
この3つの柱を個別に提供するサービスは多く存在しますが、これらを三位一体で設計・実行することができなければ、Excelバケツリレーは形を変えて残ります。
パナソニックデジタルの現場伴走型データ分析総合支援サービスDataVein(データヴェイン) は、
- ビジネスアナリシス(業務プロセス革新)
- 意思決定インテリジェンス(分析・可視化)
- 分析活用・内製化支援(人材育成と文化醸成)
という、データ活用に不可欠な3本柱を一つのストーリーとして網羅的に支援するサービスです。
私たちが長年DXを推進してきたパナソニックグループの現場においても、かつては部門間のExcelバケツリレーが繰り返され、データの更新がタイムリーに行われず現場や経営の判断材料として機能しない状況でした。
詳しくはパナソニック デジタル「DataVein」のページでご確認ください。
まとめ:Excelバケツリレーをなくすには「設計」が大事
Excelバケツリレーは、個人や現場の問題でなく、そうせざるを得ない構造を、長年放置してきた結果といえます。DXを次の段階に進めるために必要なのは、ツールを変えることではなく業務と意思決定を、どう設計するか。
その視点から、データ活用を見直すことが重要ではないでしょうか。
パナソニック デジタルではお客様のDX推進に貢献する各種ソリューションをご提供しております。お役立ち資料もぜひご覧ください。


